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セクター分析

スーパーゼネコン4社の業績比較 2026年|鹿島・大成・大林・清水建設

日本の建設業界の頂点に立つ「スーパーゼネコン」4社、鹿島建設(1812)・大成建設(1801)・大林組(1802)・清水建設(1803)を、 2025年度の有価証券報告書ベースで横断比較します(大手5社のうち竹中工務店は非上場)。資材高・労務費上昇という逆風下での採算改善の進捗を整理します。

公開: 2026-05-21更新: 2026-05-21読了目安: 約6分

1. 4社の主要指標サマリー(2025年度)

企業売上高営業利益率ROEPER配当利回り
鹿島建設18122.91兆円5.5%9.8%11.42.98%
大成建設18012.15兆円6.2%13.8%9.71.97%
大林組18022.62兆円5.9%12.1%9.74.73%
清水建設18031.94兆円3.7%7.2%141.77%

ROEは大成建設13.8%・大林組12.1%が高く、配当利回りは大林組が4.7%で突出しています。

2. ゼネコンの低利益率と採算改善

スーパーゼネコンの営業利益率は3.7〜6.2%と、製造業や商社と比べて低い水準です。これはゼネコン業界の構造によるものです。

  • 請負ビジネスの宿命:建設は受注時に価格が決まる「請負」。着工後に資材価格や人件費が上がると、その分は利益を圧迫します。近年の資材高・労務費高騰はゼネコンの採算を直撃しました。
  • 不採算工事の傷:大型工事で見積もりを誤ると巨額損失が出ます。各社とも過去に大型不採算工事で利益が吹き飛んだ経験があり、近年は「選別受注・採算重視」へ転換しています。
  • 採算改善が進む局面:工事価格への資材高転嫁が進み、4社とも採算は改善基調。大成建設・大林組のROEが12%超まで回復しているのはその表れです。
  • 不動産開発の比重:ゼネコン各社は賃貸ビルなど不動産開発も手がけ、これが安定収益源になっています。建設の低利益率を不動産が補う構造です。

3. 各社の特徴と事業構造

鹿島建設1812

売上 2.91兆円/営業利益率 5.5%/ROE 9.8%/PER 11.4倍/配当利回り 2.98%

売上2.91兆円とスーパーゼネコン最大。建築・土木に加え、海外建設と不動産開発(賃貸ビル)も収益源。長年培った賃貸不動産のストックが安定収益を生む。4社のなかでも事業の幅と海外比率で先行。

大成建設1801

売上 2.15兆円/営業利益率 6.2%/ROE 13.8%/PER 9.7倍/配当利回り 1.97%

「地図に残る仕事」で知られる。営業利益率6.2%・ROE13.8%は4社トップ。大型工事の採算悪化に苦しんだ時期を経て、選別受注と採算重視に転換。建築の比率が高い。

大林組1802

売上 2.62兆円/営業利益率 5.9%/ROE 12.1%/PER 9.7倍/配当利回り 4.73%

建築・土木に加え、再生可能エネルギー(洋上風力等)や不動産開発に積極投資。配当利回り4.7%は4社で突出して高く、株主還元に最も積極的。「高配当ゼネコン」として個人投資家の注目度が高い。

清水建設1803

売上 1.94兆円/営業利益率 3.7%/ROE 7.2%/PER 14倍/配当利回り 1.77%

建築に強みを持つ老舗。営業利益率3.7%・ROE7.2%は4社で最も低調。大型不採算工事の影響や、不動産開発投資の負担が利益率を圧迫。採算改善が最大の経営課題。

4. データの出典と注意点

本記事の業績数値は、各社が金融庁 EDINET に提出した有価証券報告書を金脈コードが独自に抽出・集計したものです(2025年度決算ベース)。 PER・配当利回りは直近株価ベースで算出しており、株価変動により日々変化します。 本記事は企業比較であり投資助言ではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。

日本のスーパーゼネコン — 5強構造と再編

日本のゼネコン (総合建設業) は、スーパーゼネコン4社 (大成建設、鹿島建設、清水建設、大林組) と準大手 (竹中工務店 非上場、長谷工コーポレーション、戸田建設、フジタ等) で構成。スーパーゼネコン4社の売上は各 1.5-2兆円規模、建築・土木・不動産開発で多角化。 業界の特徴は ①受注産業 (案件次第で業績変動)、②原材料 (鉄鋼、セメント) 価格に影響、③人手不足 + 2024年問題 (建設業残業規制) で構造課題、④脱炭素・スマート建築の DX 投資、⑤海外展開 (アジア中心)。 近年のテーマは「2024年問題対応」「ZEB (ゼロ・エネルギー・ビル)」「インフラ更新」「都市再開発」。

業績を左右する論点 — 受注・人手不足・脱炭素

①受注高 四半期ごとの受注高動向で業績先行指標。大型案件 (再開発、半導体工場、データセンター) の獲得が鍵。 ②原材料・人件費上昇 鉄鋼・セメント・銅などの建材高、人件費高で利益率圧迫。受注時の価格交渉力が業績左右。 ③2024年問題 建設業の残業規制で工期延長・コスト増。生産性向上・DX 必須。 ④海外展開 鹿島・大成は海外比率 30% 超 (米国、東南アジア)。 ⑤バリュエーション スーパーゼネコン4社の PER 9-13倍、配当利回り 3-5%、PBR 0.8-1.2倍。バリュー + 配当狙い。

ゼネコン業界の今後 — DX・脱炭素・再開発

中長期トレンド: ①DX (建設テック) - BIM (Building Information Modeling) - ロボット施工 - ドローン測量 - AI による工程管理 ②脱炭素 - ZEB (ゼロ・エネルギー・ビル) - 木造高層建築 (CLT) - 低 CO2 コンクリート ③都市再開発 - 渋谷、新宿、大阪梅田、福岡天神 - 大規模複合ビル建設 - インフラ更新 ④インフラ更新 - 老朽化トンネル・橋 - 上下水道 - 道路・鉄道 ⑤海外展開 - 米国・東南アジアの大規模インフラ案件 - データセンター建設 (国内外)

スーパーゼネコン4社の詳細財務 + 受注動向

各社の業績・受注: ①大成建設 (1801) - 売上 1.7兆円、営業利益 700億円、営業利益率 4% - 国内土木・建築バランス型、海外比率 15% - 配当利回り 3-4%、PER 10-13倍 - リニア中央新幹線、半導体工場 (TSMC 熊本) 受注 ②鹿島建設 (1812) - 売上 2.4兆円、営業利益 1,200億円、営業利益率 5% - 海外比率 30% 超 (米国シェア大)、土木技術力高 - 配当利回り 3.5%、PER 9-12倍 - 米国データセンター建設で受注急増 ③清水建設 (1803) - 売上 2兆円、営業利益 800億円、営業利益率 4% - ZEB (ゼロ・エネルギー・ビル)、再開発で先行 - 配当利回り 3-4%、PER 10-12倍 - 海外比率拡大中、不動産事業多角化 ④大林組 (1802) - 売上 2.2兆円、営業利益 700億円、営業利益率 3% - 海外比率 35% (米国、東南アジア) - 配当利回り 4-5%、PER 9-12倍 - 環境技術 (CO2 固定コンクリート) で先行 長期投資視点: ゼネコン4社は PBR 0.8-1.2倍と低位、配当利回り 3-5% で高配当バリュー。都市再開発 (渋谷、虎ノ門、麻布台)、半導体工場 (TSMC、Rapidus)、データセンター、防衛施設で受注好調継続。2024年問題対応コストは短期負担、長期的に DX 投資で改善。

よくある質問

Q. スーパーゼネコン4社、どれが投資価値高い?

A. 配当 + バリュー狙いなら大成建設・鹿島建設 (PER 10倍前後、利回り 3.5-4%)。技術力では大林組 (海外案件比率高い)。事業特性で選別、配当狙いには各社魅力的。

Q. ゼネコン株は景気敏感?

A. はい、公共投資 + 民間設備投資に連動。景気拡大期は受注好調、後退期は減少。ただし都市再開発・データセンター建設等の構造的需要で底堅さあり。

Q. 2024年問題でゼネコンは苦しい?

A. 工期延長・コスト増は痛手だが、受注価格への転嫁で吸収中。DX 投資できる大手は生産性向上で対応、中堅以下は経営悪化リスク。大手集中が加速。

Q. 海外建設需要は日本ゼネコンに恩恵?

A. 東南アジア (ベトナム、インド、フィリピン) のインフラ案件、米国の半導体工場 (TSMC、Intel) 建設で受注機会。鹿島・大成・大林が積極展開、中長期成長期待。