記事一覧に戻る

セクター分析

ゲーム大手5社の業績比較 2026年|任天堂・バンナム・カプコン・コーエー・スクエニ

日本を代表するゲーム企業5社、任天堂(7974)・バンダイナムコ(7832)・カプコン(9697)・コーエーテクモ(3635)・スクウェア・エニックス(9684)を、 2025年度の有価証券報告書ベースで横断比較します。IP(知的財産)を軸にした高収益ビジネスの「稼ぐ力」を整理します。

公開: 2026-05-21更新: 2026-05-21読了目安: 約7分

1. 5社の主要指標サマリー(2025年度)

企業売上高営業利益率ROEPER自己資本比率
任天堂79741.16兆円32%10.2%42.280.2%
バンダイナムコホールディングス78321.24兆円15%16.3%25.371.9%
カプコン96971,696億円38.7%21.4%31.672.3%
コーエーテクモホールディングス3635832億円60.1%19.9%16.590.3%
スクウェア・エニックス・ホールディングス96843,245億円12.6%7.3%34.280.8%

売上はバンダイナムコ(1.24兆円)と任天堂(1.16兆円)が大きく、収益性ではコーエーテクモ(営業利益率60%)とカプコン(38.7%)が突出しています。

2. なぜゲーム会社は利益率が高いのか

ゲーム会社の営業利益率は、製造業(一桁%が普通)と比べて圧倒的に高い水準にあります。その理由はビジネスモデルにあります。

  • 限界費用がほぼゼロ:一度開発したゲームは、ダウンロード販売なら追加コストほぼゼロで何百万本も売れます。ヒットすれば利益がそのまま積み上がります。
  • IP(知的財産)の蓄積:マリオ、モンハン、信長の野望といった人気IPは何十年も売れ続け、旧作のデジタル再販(カタログ販売)が安定収益になります。
  • コーエーテクモの60%の注意点:コーエーテクモの営業利益率60%は突出していますが、これはゲーム事業の利益に加え、同社が保有する金融資産の運用益が営業外ではなく経常的な収益として大きい特殊事情を含みます。「ゲーム事業だけの利益率」とは分けて見る必要があります。
  • 当たり外れリスク:高収益の裏返しで、大型タイトルがコケると一気に減益します。スクエニの利益率が5社で低めなのは、大型開発の不確実性が影響しています。

3. 各社の特徴とIP戦略

任天堂7974

売上 1.16兆円/営業利益率 32%/ROE 10.2%/PER 42.2倍/自己資本比率 80.2%

マリオ・ゼルダ・ポケモンなど世界最強級のIPを持つ。営業利益率32%・自己資本比率80%と財務は鉄壁。新型ハード(Nintendo Switch 2)の販売動向が業績を大きく左右するハード×ソフト一体型ビジネス。PER42倍は期待の高さの表れ。

バンダイナムコホールディングス7832

売上 1.24兆円/営業利益率 15%/ROE 16.3%/PER 25.3倍/自己資本比率 71.9%

ガンダム等の玩具・ホビーとゲームの複合企業。「IP軸戦略」でアニメ・玩具・ゲーム・アミューズメントを横断展開。ROE16.3%はゲーム5社で高水準。ゲーム専業ではない事業の幅広さが特徴。

カプコン9697

売上 1,696億円/営業利益率 38.7%/ROE 21.4%/PER 31.6倍/自己資本比率 72.3%

バイオハザード・モンスターハンター・ストリートファイターを擁する。営業利益率38.7%・ROE21.4%は5社トップ。旧作をデジタル販売し続ける「カタログ販売」モデルで高収益を実現。12期連続営業増益の実績。

コーエーテクモホールディングス3635

売上 832億円/営業利益率 60.1%/ROE 19.9%/PER 16.5倍/自己資本比率 90.3%

信長の野望・三國志・無双シリーズで知られる。営業利益率60%は驚異的だが、これは保有する金融資産の運用益も含む数値。自己資本比率90.3%と無借金経営。ゲーム事業+投資という独自のハイブリッド型。

スクウェア・エニックス・ホールディングス9684

売上 3,245億円/営業利益率 12.6%/ROE 7.3%/PER 34.2倍/自己資本比率 80.8%

ファイナルファンタジー・ドラゴンクエストを擁する。営業利益率12.6%・ROE7.3%は5社で最も低調。大型タイトルの開発費高騰と販売の当たり外れが業績を不安定にしており、収益性の改善が課題。

4. データの出典と注意点

本記事の業績数値は、各社が金融庁 EDINET に提出した有価証券報告書を金脈コードが独自に抽出・集計したものです(2025年度決算ベース)。 PERは直近株価ベースで算出しており、株価変動により日々変化します。 本記事は企業比較であり投資助言ではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。

日本のゲーム業界 — IPの宝庫と世界市場

日本のゲーム業界は世界市場で独自の存在感を持つ。任天堂 (Mario、Zelda、Pokémon)、バンダイナムコ (機動戦士ガンダム、ドラゴンボール)、カプコン (バイオハザード、モンスターハンター)、スクエニ (FF、ドラクエ、キングダムハーツ)、コーエーテクモ (信長の野望、無双シリーズ) が業界主力。 各社の特徴は IP (Intellectual Property = 知的財産) の保有量と、それを用いたゲーム + 関連商品 (映画、アニメ、グッズ) の展開力。世界的に「日本IP」のブランド価値は極めて高く、海外売上比率も高い。 業界の特徴は ①ヒットタイトル依存度高い (1作品で業績が大きく変動) ②IP の長期的活用 (Mario は40年以上) ③グローバル展開でドル建て収益が大きい ④デジタル販売へのシフトで利益率改善。

業績を左右する論点 — IP保有量・新作・モバイル展開

①IP の質と量 任天堂 (Mario、Zelda、Pokémon、Splatoon) と バンダイナムコ (ガンダム、ドラゴンボール) が IP の量で圧倒。 ②新作リリースサイクル 任天堂は4-5年に1度の新ハード発表で業績が大きく変動。Switch 後継機 (Switch 2、2025年予定) が注目。 ③モバイル・PC ゲーム展開 スクエニはモバイル展開で先行、収益安定化。 ④グローバル比率 任天堂 70-80%、カプコン 80%、コーエーテクモ 60-70%。為替効果大。 ⑤バリュエーション 任天堂 PER 18-25倍、バンダイナムコ 20-25倍。

ゲーム業界の今後 — クラウド・AI・IP メディアミックス

中長期トレンド: ①クラウドゲーミング Xbox Game Pass、PlayStation Plus でストリーミング再生時代へ。 ②AI 活用 ゲーム開発の AI 化、AI NPC、AI レベルデザイン。 ③IP メディアミックス 任天堂は USJ Mario World、Mario 映画 (10億ドル超ヒット)。カプコンはモンハン映画。 ④インディーゲーム市場拡大 Steam、Switch eShop で個人開発者の作品も大ヒット。 ⑤新興市場 中国・東南アジア・インドのモバイルゲーム拡大。

ゲーム5社の財務 + 主要IP・タイトル

各社の業績・代表IP: ①任天堂 (7974): 売上 1.7兆円、営業利益 5,300億円、営業利益率 31% - Switch ハード + ソフト + USJ + 映画 - 主要IP: Mario、Zelda、Pokémon、Splatoon、どうぶつの森 - Switch 2 発売 (2025年) で次世代成長 - ROE 15%、配当利回り 2%、PER 18-22倍 ②バンダイナムコ HD (7832): 売上 1.2兆円、営業利益 1,000億円 - ゲーム + おもちゃ + キャラクター + アミューズメント - 主要IP: ガンダム、ドラゴンボール、ワンピース、エルデンリング、SAO - 配当利回り 1.5%、PER 20-25倍 ③カプコン (9697): 売上 1,500億円、営業利益 580億円、営業利益率 38% (高収益) - バイオハザード、モンスターハンター (1,000万本超ヒット)、ストリートファイター - ヒットタイトル依存度高い - ROE 20%、PER 20-25倍 ④スクウェア・エニックス HD (9684): 売上 3,500億円、営業利益 250億円 - FF、ドラクエ、キングダムハーツ、聖剣伝説 - モバイル + コンソールバランス、低利益率 ⑤コーエーテクモ HD (3635): 売上 800億円、営業利益 250億円 - 信長の野望、無双シリーズ - 中規模で安定、配当利回り 2% 長期投資視点: 任天堂が IP × ハード × メディアミックスで群を抜く。バンダイナムコの IP量、カプコンの高収益で投資価値。

よくある質問

Q. ゲーム5社で最も投資価値が高いのは?

A. 任天堂が群を抜く。Mario・Zelda・Pokémon の不滅 IP + ハード (Switch、次世代機) + IP メディア展開で総合力最強。バンダイナムコは IP 量で次点、カプコンはモンハン頼み。

Q. 任天堂は Switch 後継機でどうなる?

A. Switch 2 が2025年に発売予定 (2026年5月時点で公開)。Switch (1.4億台販売) の後継として大ヒット期待。短期的に株価押し上げ要因、長期的にもハード + ソフト両方で恩恵。

Q. ゲーム株のリスクは?

A. ①ヒット作の不発で業績悪化 ②開発コスト高騰 ③為替変動 ④競合 (任天堂 vs ソニー、海外大手)。1作品の出来で株価が大きく動く銘柄が多い。

Q. モバイルゲームと家庭用ゲーム、どちらが成長?

A. モバイルが世界市場では既に60%以上、成長余地大 (アジア・新興国)。ただし収益性は家庭用 (買い切り) の方が高い。任天堂のような家庭用 + IP メディアミックスが日本勢の強み。