1. 5社の地盤・規模・業績サマリー(2025年度)
| 企業 | 地盤 | 経常収益 | ROE | PBR | 配当利回り |
|---|---|---|---|---|---|
| 横浜FG(コンコルディア)7186 | 神奈川・東京 | 3,991億円 | 7.1% | 0.85倍 | 3.2% |
| 千葉銀行8331 | 千葉県 | 3,622億円 | 8.5% | 0.95倍 | 3.1% |
| めぶきFG7167 | 茨城・栃木・群馬 | 3,602億円 | 6.5% | 0.78倍 | 3.3% |
| ふくおかFG8354 | 福岡・熊本・長崎 | 4,557億円 | 7.9% | 0.92倍 | 3% |
| 京都FG5844 | 京都・滋賀 | 1,673億円 | 9.6% | 1.41倍 | 2% |
経常収益はふくおかFGが最大。ROEは京都FGが9.6%でトップ、PBRは京都FGが1.41倍と5社で唯一の1倍超です(京都銀行の政策保有株含み益が背景)。
2. 地銀再編の歴史と現在地
地方銀行は2010年代以降、人口減少と低金利の長期化を背景に、経営統合・広域連携が相次ぎました。本記事で取り上げた5社の構成も、それぞれ異なる再編の経緯を反映しています。
- 2016年 コンコルディアFG発足:神奈川の横浜銀行と東京の東日本銀行が経営統合。首都圏での地銀広域化の先駆け。
- 2016年 めぶきFG発足:茨城の常陽銀行と栃木の足利銀行が経営統合。北関東で広域地銀グループに。
- 2019年 十八親和銀行発足:長崎の十八銀行と親和銀行が合併し、ふくおかFG傘下に。九州・山口で地銀集約が進む。
- 2023年 京都FG発足:京都銀行が単独株式移転で持株会社化。広域統合ではなく、ガバナンス強化のための持株会社化。
- 千葉銀行=独立路線+広域連携:単独経営を維持しつつ、TSUBASA同盟(地銀10行のシステム連携)の中核として広域連携でメリットを享受。
このように地銀の再編には「持株会社統合」「合併+傘下入り」「広域システム連携」など複数のパターンがあり、各社の経営判断が反映されています。今後も人口減少が続く以上、再編の動きは継続する見通しです。
3. 各社の地盤・特徴と業績
コンコルディア・フィナンシャルグループ7186
地盤: 神奈川・東京/傘下: 横浜銀行+東日本銀行/経常収益 3,991億円/ROE 7.1%/PBR 0.85倍/配当利回り 3.2%
神奈川県を本拠とする地銀最大規模の一角。横浜銀行は預金量で日本最大級の地銀。神奈川という大型経済圏を地盤に、首都圏での法人・個人取引に強み。
沿革: 2016年に横浜銀行と東日本銀行が経営統合して発足。
千葉銀行8331
地盤: 千葉県/傘下: 千葉銀行(単独)/経常収益 3,622億円/ROE 8.5%/PBR 0.95倍/配当利回り 3.1%
千葉県内シェア圧倒的1位。県内に約160店舗を展開。地銀のなかでもROEが高めで、財務優良として評価される代表的な地銀。TSUBASA同盟で他地銀とシステム共通化。
沿革: TSUBASA同盟(地銀10行のシステム連携)の中核として、単独でグループ化せず広域連携で対応。
めぶきフィナンシャルグループ7167
地盤: 茨城・栃木・群馬/傘下: 常陽銀行+足利銀行/経常収益 3,602億円/ROE 6.5%/PBR 0.78倍/配当利回り 3.3%
北関東3県(茨城・栃木・群馬)に圧倒的な店舗網を持つ。北関東広域の中堅企業・地場製造業との取引が中心。経営統合後もシステム・ブランドの最適化を継続。
沿革: 2016年に常陽銀行(茨城)と足利銀行(栃木)が経営統合。両行のブランドは存続。
ふくおかフィナンシャルグループ8354
地盤: 福岡・熊本・長崎/傘下: 福岡銀行+熊本銀行+十八親和銀行/経常収益 4,557億円/ROE 7.9%/PBR 0.92倍/配当利回り 3%
九州地盤の地銀最大手。子会社27社で構成され、傘下にネット専業銀行「みんなの銀行」も持つ点が特徴。九州・山口の地銀再編を主導する立場。
沿革: 2007年福岡銀行+熊本ファミリー銀行(現・熊本銀行)統合、2019年十八銀行+親和銀行統合で十八親和銀行が誕生し傘下入り。九州地銀の集約を主導。
京都フィナンシャルグループ5844
地盤: 京都・滋賀/傘下: 京都銀行(中核)/経常収益 1,673億円/ROE 9.6%/PBR 1.41倍/配当利回り 2%
京都銀行は政策保有株(任天堂・京セラ・村田製作所など京都企業株)の含み益が巨額で知られる。これが純資産・含み益を押し上げ、PBR1.4倍と地銀のなかで突出。「政策保有株の宝庫」として独自の評価軸を持つ地銀。
沿革: 2023年10月に京都銀行が単独株式移転で持株会社化(→京都FG)。京都・滋賀を中心に展開。
4. よくある質問(FAQ)
Q. 地方銀行大手5社で最も預金・貸出規模が大きいのはどこですか?
A. 横浜銀行を中核とするコンコルディア・フィナンシャルグループ(横浜FG)が地銀最大級の規模を持ちます。神奈川という大型経済圏を地盤としており、預金量・貸出金は地銀のなかでトップクラスです。続いて千葉銀行、ふくおかFG、めぶきFGも大手地銀グループを形成しています。
Q. 京都銀行のPBRが地銀のなかで高いのはなぜですか?
A. 京都銀行は任天堂、京セラ、村田製作所、ローム、日本電産など京都企業の株式を政策保有株として大量に保有しており、その含み益が巨額です。会計上の純資産には簿価で計上されていますが、含み益を考慮すると実態の企業価値はさらに大きく、PBR1倍以上の評価につながっています。「政策保有株の宝庫」とも呼ばれる地銀です。
Q. 地方銀行はなぜ合併・統合が続いているのですか?
A. 人口減少・低金利の長期化で地方の貸出需要が縮小し、地銀単独での収益確保が難しくなっているためです。システム投資・店舗網の重複を整理するメリットと、地域経済への影響力を維持する意義から、コンコルディアFG(2016年)、めぶきFG(2016年)、ふくおかFG傘下の十八親和銀行(2019年)など、地銀の経営統合が相次いでいます。今後も再編は続く見通しです。
5. データの出典
本記事のデータは以下の出典に基づきます:
- 経常収益・ROE・PER・PBR・配当利回り:各社が金融庁の開示システムEDINETに提出した2025年度(2026年3月期)の有価証券報告書のXBRLデータを、金脈コードが独自に抽出・集計したものです。銀行業の「経常収益」は資金運用収益・役務取引等収益・その他業務収益等を含む銀行業特有の収益概念です。
- 合併・統合の沿革:各社の有価証券報告書「沿革」、各銀行のIRページ・コーポレートサイトの公開情報に基づきます。
- 地盤・店舗網・グループ構成:各社の統合報告書・ディスクロージャー誌・決算説明資料の公表数値に基づく一般的な記述です。店舗数は統廃合により変動するため、最新の正確な数字は各行のディスクロージャー誌をご確認ください。
- 京都銀行の政策保有株:京都銀行が有価証券報告書「政策保有株式」セクションに開示する一般的な情報に基づく記述です。具体的な銘柄・残高は同社の最新有報・コーポレートガバナンス報告書に記載されています。
本記事は企業比較を目的とした情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。
日本の地方銀行 — 統合再編の最前線
業績を左右する論点 — 利上げ・統合・地域経済
地方銀行の今後 — 統合と DX
よくある質問
Q. 地銀大手で規模・再編の動きが目立つのは?
A. ふくおか FG (積極的 M&A)、千葉銀 (関東圏で安定した収益基盤)、横浜銀 (コンコルディア FG、首都圏で拡大) が代表格です。いずれも配当利回り 4% 超の水準で、東証の PBR 改善要請の対象としても注目されています。
Q. 地方銀行の構造的なリスク要因は?
A. 地域経済の悪化、不良債権リスク、IT 投資負担、人口減少による長期的な収益基盤の縮小が挙げられます。一方、金利上昇は利ざや改善に働き、経営統合の進展も収益構造を変える要因です。
Q. メガバンクと地銀の財務特性の違いは?
A. メガバンクは規模・事業多角化・海外比率の高さが特徴で、地銀は地域集中型で PBR がより低い水準にあります。金利上昇の恩恵は両者に及びますが、収益構造とリスク特性は大きく異なります。
Q. 地銀の統合発表で株価はどう動く?
A. 統合発表直後は両社の株価上昇 (シナジー期待 + TOB プレミアム)。ふくおか FG、コンコルディア FG、めぶき FG など、過去の統合事例で平均 +20-50% の株価上昇あり。