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セクター分析

重工大手3社の業績比較 2026年|三菱重工・川崎重工・IHI

日本の重工業界を代表する3社、三菱重工業(7011)・川崎重工業(7012)・IHI(7013)を、 2025年度の有価証券報告書ベースで横断比較します。防衛費増額、民間航空機の回復、エネルギー需要という追い風のなかで、各社の事業構成と収益性を整理します。

公開: 2026-05-21更新: 2026-05-21読了目安: 約6分

1. 3社の主要指標サマリー(2025年度)

企業売上高営業利益率ROEPER自己資本比率
三菱重工業70115.03兆円6.3%9.9%34.637.1%
川崎重工業70122.13兆円5.9%12.1%1724%
IHI70131.63兆円8.8%22.2%13.922.7%

売上は三菱重工が5.03兆円で最大。ROEはIHIが22.2%でトップですが、自己資本比率は3社とも20〜37%とやや薄めです。

2. 重工業界を吹く3つの追い風

重工3社の業績は近年大きく改善しました。その背景には共通の追い風があります。

  • 防衛費の増額:日本の防衛費はGDP比2%への増額方針が打ち出され、3社とも防衛関連事業(艦艇・航空機・ミサイル等)の受注が拡大しています。
  • 民間航空機の回復:コロナ後の航空需要回復で、航空エンジンや機体部品の需要が回復。特にIHI・川崎重工はエンジン部品事業の比率が高く、業績改善に直結しました。
  • エネルギー需要:データセンター向け電力需要やLNG火力でガスタービン需要が高まり、三菱重工のエナジー事業を押し上げています。脱炭素関連(水素・アンモニア)も中長期の成長テーマ。

一方で重工業は大型案件の採算次第で利益が振れやすく、自己資本比率も高くありません。追い風が続くかどうかと財務改善の進捗が、株価評価のポイントです。

3. 各社の特徴と事業構造

三菱重工業7011

売上 5.03兆円/営業利益率 6.3%/ROE 9.9%/PER 34.6倍/自己資本比率 37.1%

売上5.03兆円と3社最大。エナジー(火力・原子力・ガスタービン)、防衛・宇宙、航空、物流機器などを抱える総合重工。防衛費増額とガスタービン需要が追い風で、株式市場の期待が高くPER34.6倍・PBR3.44倍。

川崎重工業7012

売上 2.13兆円/営業利益率 5.9%/ROE 12.1%/PER 17倍/自己資本比率 24%

航空エンジン、防衛(潜水艦・ヘリ)、鉄道車両、二輪車(カワサキ)、水素エネルギーと事業が多彩。航空・防衛の回復で2025年度は営業利益が大きく伸びた。自己資本比率24%とやや低めで財務改善が課題。

IHI7013

売上 1.63兆円/営業利益率 8.8%/ROE 22.2%/PER 13.9倍/自己資本比率 22.7%

航空エンジン(民間機向け部品)が収益の柱。防衛、資源・エネルギー、産業機械も手がける。ROE22.2%は3社で突出。航空機需要の回復が業績を大きく押し上げた一方、自己資本比率22.7%と財務基盤は3社で最も薄い。

4. よくある質問(FAQ)

Q. 重工大手3社で最も売上が大きいのはどこですか?

A. 2025年度の売上高は三菱重工業が約5.03兆円で最大です。次いで川崎重工業2.13兆円、IHI1.63兆円の順です。

Q. 重工大手3社で最もROEが高いのはどこですか?

A. IHIがROE22.2%で突出しています。航空エンジン事業の回復が利益を大きく押し上げました。ただし自己資本比率は22.7%と3社で最も薄い点には注意が必要です。

Q. 重工業界が好調な理由は何ですか?

A. 防衛費の増額、民間航空機需要の回復、ガスタービンなどエネルギー関連需要の高まりが追い風になっています。3社とも防衛・航空関連の事業を持つ点が共通しています。

5. データの出典

本記事の業績数値(売上高・営業利益・ROE・自己資本比率)は、各社が金融庁の開示システムEDINETに提出した有価証券報告書(2025年度=2026年3月期の本決算)のXBRLデータを、金脈コードが独自に抽出・集計したものです。 PER・PBRは1株当たり指標を直近の株価で計算したもので、株価変動により日々変化します。データ抽出時点は2026年5月です。 本記事は企業比較を目的とした情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。

日本の重工大手3社 — 防衛・宇宙・発電

三菱重工業・川崎重工業・IHI の3社は、戦前から発展した日本を代表する重工メーカー。発電プラント・防衛装備・航空宇宙・船舶・産業機械など、社会インフラの中核を支えてきました。 三菱重工は売上 4.5兆円超で業界トップ、防衛・宇宙・発電 (火力、原子力、水素) で多角化。川崎重工は鉄道車両、航空宇宙、産業用ロボット、二輪 (カワサキ) で展開。IHI は航空エンジン (民間機)、宇宙ロケット、原動機で特化。 業界の特徴は ①政府関連事業比率高い (防衛、原子力)、②大型プロジェクト依存で業績変動大、③低利益率 (営業利益率 3-7%) で改革進行中、④脱炭素・防衛で長期的な追い風。

業績を左右する論点 — 防衛・脱炭素・構造改革

①防衛費 GDP 2% 引き上げ 日本の防衛費は 2027年度に GDP 2% へ。三菱重工 (戦闘機 F-X、艦艇、ミサイル)、川崎重工 (戦闘機部品、潜水艦)、IHI (戦闘機エンジン F110、F135 共同生産) が恩恵。 ②脱炭素事業 水素・アンモニア発電 (三菱重工)、CCS (二酸化炭素回収)、洋上風力。三菱重工が水素関連で先行。 ③構造改革 非中核事業の売却・撤退、利益率改善。IHI のジェットエンジン修理・整備事業 (MRO) の不正会計問題対応も継続課題。 ④バリュエーション 三菱重工 PER 25-35倍 (防衛期待で高評価)、川崎重工 PER 15-20倍、IHI PER 10-15倍。

重工業界の今後 — 防衛・宇宙・水素

中長期トレンド: ①防衛事業拡大 - 戦闘機 F-X (日英伊共同開発) - 護衛艦・潜水艦 - ミサイル防衛 - 三菱重工の防衛売上が2030年に1兆円目標 ②宇宙事業 - H3 ロケット (三菱重工)、衛星 - 宇宙ステーション、月探査 ③水素・アンモニア発電 - 三菱重工が世界トップクラス技術 - 火力発電の脱炭素化 ④航空エンジン - IHI の民間機エンジン市場拡大 - 川崎重工の防衛 + 民間機両方

重工3社の詳細財務 + 防衛事業比率

各社の業績・防衛事業比率: ①三菱重工業 (7011) - 売上 4.7兆円、営業利益 2,400億円、営業利益率 5.1% - 防衛 15-20% (戦闘機 F-X、潜水艦、ミサイル)、発電プラント 25%、宇宙 5%、商用機 5% - 防衛売上 2030年 1兆円目標 (現状 5,000億円規模) - 配当利回り 1-1.5%、PER 25-35倍 (防衛期待で高評価) - 株価 5年で 5倍超の急上昇 ②川崎重工業 (7012) - 売上 1.9兆円、営業利益 900億円、営業利益率 4.7% - 防衛 10-15%、航空宇宙 30%、車両 20%、二輪・船舶 20% - ジェットエンジン (Trent シリーズ共同生産)、潜水艦 - 配当利回り 2-3%、PER 15-20倍 ③IHI (7013) - 売上 1.4兆円、営業利益 800億円、営業利益率 5.7% - 航空エンジン 30% (民間機 F110、F135 等)、原動機 20%、産業機械 15% - 民間航空機需要回復で業績拡大 - 配当利回り 2.5-3.5%、PER 10-15倍 - 過去の不正会計問題からの再建段階 長期投資視点: 3社とも防衛費 GDP 2% 引き上げの恩恵を受けるが、最大の受益者は三菱重工 (戦闘機 F-X、艦艇、ミサイル)。航空エンジン特化なら IHI、二輪含む多角化なら川崎重工。脱炭素 (水素発電) は三菱重工が世界トップ技術。

よくある質問

Q. 防衛費拡大は重工3社の業績にどう影響する?

A. 防衛費の GDP 比 2% への引き上げに伴い、三菱重工・川崎重工・IHI の防衛関連売上は2027年度まで拡大が続く見込みです。防衛事業の受注規模では三菱重工が最大です。

Q. 三菱重工の水素事業は本物?

A. 世界トップクラス。水素ガスタービン、アンモニア混焼発電で技術リード。脱炭素時代の主要技術として中長期成長期待。ただし商用化は2030年代の見込み。

Q. 重工株は景気敏感?

A. 中程度。発電・防衛は政府需要で安定、産業機械・船舶は景気サイクル連動。事業ポートフォリオの広さが安定性を支える。

Q. IHI の不正会計問題はどうなりますか?

A. 2024年に発覚した航空エンジン整備不正で課徴金・損害賠償リスク。短期的には株価重し、長期的には構造改革で再生期待。リスクと回復の両面を見る必要。