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業界横断データ

33業種別ROE・PER・PBR中央値一覧 2026年

JPX(日本取引所グループ)の33業種分類で3,322の上場企業を分類し、ROE・PER・PBR・営業利益率・配当性向の業種別中央値を一覧化しました。 個別銘柄が業種内で割安/割高か、優良/平凡かを判断する基礎データとしてご活用ください。 すべて2025年度決算ベースの実データです。

公開: 2026-05-12更新: 2026-05-12読了目安: 約6分

1. 業種別中央値の一覧表

JPX 33業種分類を社数の多い順に並べ、各業種の中央値を一覧表示します。 セクター名をクリックすると、当該業種内のランキングページに遷移できます。

業種社数ROEPERPBR営業利益率配当性向
情報・通信業49511.05%17.422.25倍9.50%31.6%
サービス業46410.70%15.801.71倍7.88%35.4%
卸売業2757.98%15.701.41倍4.47%29.8%
小売業2727.46%10.250.79倍3.61%30.4%
電気機器2237.51%13.860.86倍7.92%32.8%
機械1967.11%12.730.83倍8.83%33.8%
化学1936.41%11.780.76倍7.34%34.5%
建設業1277.89%10.350.90倍6.13%32.5%
不動産業11610.70%9.661.15倍8.88%29.0%
食料品1117.23%16.261.10倍4.90%33.9%
その他製品896.80%13.000.76倍6.66%32.6%
輸送用機器836.22%9.530.60倍5.09%34.0%
銀行業794.64%9.390.46倍18.77%26.0%
金属製品775.49%10.500.55倍6.14%29.1%
輸送用機器(陸運業)577.63%12.100.93倍6.56%26.1%
精密機器498.11%14.730.98倍10.15%32.7%
医薬品477.50%15.401.13倍9.35%36.7%
繊維製品464.95%10.700.60倍5.09%27.9%
ガラス・土石製品457.88%10.160.76倍8.43%28.8%
鉄鋼375.28%9.040.55倍6.21%37.2%
その他金融業358.56%11.620.89倍12.18%39.1%
証券、商品先物取引業328.71%11.000.90倍20.42%43.4%
非鉄金属308.71%10.290.73倍5.30%24.5%
倉庫・運輸関連業306.32%10.380.57倍5.28%28.7%
電気・ガス業277.03%8.650.52倍5.68%22.9%
パルプ・紙215.20%10.400.52倍4.61%25.3%
ゴム製品177.33%10.430.84倍9.07%35.2%
水産・農林業126.03%21.591.02倍3.79%33.9%
海運業1113.62%4.600.67倍12.16%13.8%
保険業1011.16%13.351.46倍8.62%31.7%
石油・石炭製品86.51%9.780.75倍5.38%38.7%
鉱業58.30%9.500.79倍16.51%26.8%
空運業310.53%10.401.10倍8.85%34.6%

※ 数値は2025年度決算(または直近期)の中央値。Naは該当データなし。 ※ 緑=ROE高、赤=ROE低、青=割安シグナル、オレンジ=高PER。

2. 表の読み方

各指標の意味は以下のとおりです。

  • ROE(自己資本利益率): 株主資本に対する利益率。日本企業の平均は約8%、伊藤レポートで推奨される最低水準も8%
  • PER(株価収益率): 株価÷1株利益。市場平均は15倍前後
  • PBR(株価純資産倍率): 株価÷1株純資産。1倍割れは東証が改善要請の対象
  • 営業利益率: 売上に対する本業利益の割合。業種により幅が大きい
  • 配当性向: 純利益のうち配当に回す割合。30-50%が一般的

「中央値」を採用したのは、平均値だと一部の極端な企業(赤字企業や巨大企業)に引きずられて代表性を失うためです。 中央値は業界の「真ん中の企業」の水準を示すため、業種特性を把握するのに適しています。

3. ROEが高い業種・低い業種

ROE中央値が高い業種 TOP5

  1. 1. 海運業 — 13.62%
  2. 2. 保険業 — 11.16%
  3. 3. 情報・通信業 — 11.05%
  4. 4. 不動産業 — 10.70%
  5. 4. サービス業 — 10.70%

ROE中央値が低い業種 TOP5

  1. 1. 銀行業 — 4.64%
  2. 2. 繊維製品 — 4.95%
  3. 3. パルプ・紙 — 5.20%
  4. 4. 鉄鋼 — 5.28%
  5. 5. 金属製品 — 5.49%

海運業のROEが高いのは、コロナ後のコンテナ船バブルとその後の運賃回復が背景です。 ただし海運業はシクリカルで、業種としては「ROEのブレが大きい」点に注意が必要です。

銀行業のROEが低いのは、規制業種で自己資本比率を厚く保つ必要があるためです。 ただし2025年度は日銀の金融政策正常化で利ざやが拡大し、3メガバンクのROEは8%前後まで改善しています(業種中央値が低いのは地銀の影響)。

4. PERの業種格差はなぜ起きるのか

PERは業種ごとに大きく異なります。低PER業種と高PER業種の代表を見てみましょう。

低PER業種(割安シグナル)

  • • 海運業 — 4.60倍
  • • 電気・ガス業 — 8.65倍
  • • 鉄鋼 — 9.04倍
  • • 銀行業 — 9.39倍
  • • 輸送用機器 — 9.53倍

高PER業種(成長期待)

  • • 水産・農林業 — 21.59倍
  • • 情報・通信業 — 17.42倍
  • • 食料品 — 16.26倍
  • • サービス業 — 15.80倍
  • • 卸売業 — 15.70倍

低PER業種は「シクリカル」「成熟業種」「規制業種」が中心です。 将来の業績拡大期待が限定的だったり、景気変動に強く左右されるため、市場は保守的なバリュエーションをつけます。

高PER業種は「成長期待」「無形資産集約」「ストック型収益」が特徴です。 情報・通信業やサービス業は将来の利益成長を織り込み高PERになります。食料品は安定したディフェンシブ性で評価されます。

5. PBR1倍割れ業種

2023年に東証はPBR1倍割れ企業に「資本コストや株価を意識した経営」の改善を要請しました。 業種中央値ベースでPBRが1倍を下回っている業種を抽出すると以下のとおりです。

業種PBR中央値ROE中央値
銀行業0.464.64%
電気・ガス業0.527.03%
パルプ・紙0.525.20%
金属製品0.555.49%
鉄鋼0.555.28%
倉庫・運輸関連業0.576.32%
輸送用機器0.606.22%
繊維製品0.604.95%
海運業0.6713.62%
非鉄金属0.738.71%
石油・石炭製品0.756.51%
化学0.766.41%
その他製品0.766.80%
ガラス・土石製品0.767.88%
小売業0.797.46%
鉱業0.798.30%
機械0.837.11%
ゴム製品0.847.33%
電気機器0.867.51%
その他金融業0.898.56%
建設業0.907.89%
証券、商品先物取引業0.908.71%
輸送用機器(陸運業)0.937.63%
精密機器0.988.11%

銀行業(0.46倍)が突出して低く、次いで電気・ガス・パルプ・鉄鋼など成熟業種が並びます。 これらの業種に属する個別銘柄は、株主還元強化(増配・自社株買い)や資本効率改善策が「PBR改善ストーリー」として注目されることが多いです。

6. 個別銘柄分析への活用法

本一覧は個別企業を業界内でポジショニングするためのリファレンスとして活用します。 具体的な使い方をいくつか挙げます。

  • 業界平均比較: 企業のROEが業界中央値より高ければ「業界内優良企業」と判断できる
  • 割安・割高判定: 個別PERが業界中央値より大きく低ければ「業界内割安」、高ければ「業界内プレミアム」と判断
  • セクター・ローテーション: 業種ごとの中央値から、どの業種が割安か全体感を把握
  • 同業他社比較: 業種ランキングページから、同じ業種内のすべての銘柄を直接比較

金脈コードの企業ページでは、各社の指標を業界中央値と比較した「業界内位置づけ」を可視化しています。 業種別ランキングページから、特定の業種について全社の指標を一覧で比較できます。

7. 算出方法と注意点

本データの算出方法:

  • JPX 33業種分類に基づき3,322社を業種ごとに分類
  • 各業種について、有価証券報告書のXBRLデータから各指標を抽出
  • 欠損値・赤字企業は除外せず、ただし0・負値はPER/PBRから除外
  • 中央値(メディアン)を採用。平均値より極端な異常値に左右されにくいため
  • 各社数が極端に少ない業種(3社未満)は除外
注意点: 本データは2025年度決算(または直近期)の業界中央値スナップショットです。 企業の業績改善・市場価格変動により、個別銘柄の指標は日々変動します。 最新値は各社の企業ページで確認してください。 本記事は事実分析であり、投資助言を目的とするものではありません。

関連ページ

業種別財務中央値の意義

業種別の財務中央値 (平均年収・営業利益率・ROE・自己資本比率・PER 等) は、個別企業の評価をする際の重要なベンチマークです。「同じ業界の中央値より優れているか劣っているか」が投資判断・就職判断の出発点となります。 業種特性が大きく異なる代表例: - 商社: 営業利益率 5-8% (薄い)、PER 8-12倍 (バリュー) - SaaS: 営業利益率 15-25%、PER 30-50倍 (グロース) - 銀行: 自己資本比率 5-8% (規制)、ROE 5-8% - 不動産: PBR 1-2倍、配当利回り 3-5% - 半導体: 高 ROE、景気サイクル変動大 - 食品: 安定収益、中程度の利益率 業界横断比較は誤読の温床。同業内比較が鉄則。

業種別中央値の活用法

①銘柄スクリーニング 業界中央値より高い ROE、低い PER、高い配当利回りの銘柄を抽出。「業界トップクラスの効率 + 業界平均並みのバリュエーション」が割安候補。 ②就職・転職判断 業界平均年収を初期判断材料に。同年代の同業他社比較で待遇の妥当性を評価。 ③産業構造分析 業界全体の利益率推移で構造変化を把握。例えば小売業の利益率低下傾向 = 価格競争激化、商社の利益率上昇 = 投資事業拡大。 ④投資戦略 - バリュー: 業界平均 PER の半分以下を狙う - グロース: 業界平均 ROE の2倍以上を狙う - ディフェンシブ: 業界平均自己資本比率の1.5倍以上 ⑤マクロ判断 業界中央値の経年変化で日本経済の構造変化を捉える。

AI 投資・ESG での業種別評価

中長期トレンド: ①AI 投資による業種別恩恵 - 半導体: AI 半導体需要拡大で営業利益率上昇 - ソフトウェア・SaaS: AI 統合で生産性向上 - 製造業: AI 自動化で人件費削減 - 物流: AI 配送最適化 ②ESG 投資の影響 - グリーン業界 (再エネ、EV) は PER 高評価 - 化石燃料 (石炭、原油) は PBR 低評価傾向 - ESG スコア高い企業の資本調達コスト低下 ③グローバル比較 - 日本企業の ROE は米国比で低い (8% vs 15%) - PBR も低水準 (1.2倍 vs 4倍) - 改善余地大、PBR 改善要請の継続効果 ④業界再編 - 一部業界 (銀行、商社) で寡占化進行 - 中堅企業の統合進展 業種別中央値を 5-10年スパンで追跡することで、産業構造の変化と投資機会を捉える。

よくある質問

Q. 業種別の中央値はどこで確認できますか?

A. 当サイト (金脈コード)、JPX 統計、東洋経済オンライン、四季報、有報総覧、SBI/楽天証券の業界比較ツール等。業種別の ROE、PER、配当利回り、自己資本比率等を比較可能。

Q. なぜ業界横断比較は誤読になりやすい?

A. 業界によって会計構造・ビジネスモデル・規制が大きく異なるため。例えば商社の PER 10倍 vs SaaS の PER 50倍を直接比較しても意味なし。同業内比較が定石。

Q. 高 ROE 業界の特徴は?

A. SaaS、半導体材料、医薬品、ニッチトップ製造業 (キーエンス、信越化学、ファナック) が高 ROE。共通点は ①参入障壁高い ②高利益率 ③グローバル展開 ④資産効率高い。

Q. 業界平均より優秀な企業をどう見つける?

A. ①業界別ランキング (ROE、ROA、利益率、配当利回り) で上位 10% を選別 ②3-5年連続でトップを維持しているか ③業界の構造変化を勝ち抜いているか。長期的に業界平均を上回る企業が長期投資に向く。