1. 5社の主要指標サマリー(2025年度)
| 企業 | 売上高 | 営業利益率 | ROE | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| テルモ4543 | 1.04兆円 | 15.2% | 8.6% | 35.4倍 | 3.03倍 |
| オリンパス7733 | 9,973億円 | 16.3% | 15.7% | 18.9倍 | 2.97倍 |
| HOYA7741 | 8,660億円 | — | 20.8% | 28.9倍 | 6.01倍 |
| シスメックス6869 | 5,086億円 | 17.2% | 11.6% | 33倍 | 3.81倍 |
| ニコン7731 | 7,153億円 | 0.3% | 1% | 83倍 | 0.8倍 |
テルモ・オリンパス・シスメックスの医療機器3社は営業利益率15〜17%と高収益。一方ニコンは0.3%と際立って低く、同じ「精密機器」でも明暗が分かれます。
2. 医療機器が高収益な理由
テルモ・オリンパス・シスメックスといった医療機器企業が高収益なのには、明確な理由があります。
- 参入障壁の高さ:医療機器は薬事承認、臨床データ、医師との信頼関係が必要で、新規参入が極めて難しい。一度シェアを握ると安定します(オリンパスの内視鏡シェア約7割が好例)。
- リカーリング(消耗品)モデル:シスメックスの検査機器のように、機器を売って消耗品(試薬)で継続的に課金するモデルは、安定したストック収益を生みます。
- ディフェンシブな需要:医療需要は景気に左右されにくく、高齢化で構造的に拡大。安定成長を市場が評価し、PERも高めに付きます。
- ニコンとの対比:ニコンのカメラ・露光装置はスマホ普及や競争激化で需要が変動する「シクリカル」な性格。同じ精密機器でも、医療機器の安定性とは対照的です。
3. 各社の特徴と事業構造
テルモ4543
売上 1.04兆円/営業利益率 15.2%/ROE 8.6%/PER 35.4倍/PBR 3.03倍
カテーテルなど心臓血管領域に強い医療機器大手。売上1.04兆円と5社最大。安定した医療需要を背景に営業利益率15.2%。ディフェンシブな医療機器株として、PER35倍と高めに評価される。
オリンパス7733
売上 9,973億円/営業利益率 16.3%/ROE 15.7%/PER 18.9倍/PBR 2.97倍
消化器内視鏡で世界シェア約7割を握る圧倒的トップ。かつてのカメラ事業を売却し、医療機器に集中する構造転換に成功。営業利益率16.3%・ROE15.7%と高収益。内視鏡という独占的ポジションが強み。
HOYA7741
売上 8,660億円/営業利益率 —/ROE 20.8%/PER 28.9倍/PBR 6.01倍
半導体用フォトマスク基板、HDD用ガラス基板、メガネレンズ、医療内視鏡など。半導体関連の高収益事業を持ち、ROE20.8%・PBR6.01倍は5社で突出。「精密機器」というより半導体・光学の高収益企業として評価される。
シスメックス6869
売上 5,086億円/営業利益率 17.2%/ROE 11.6%/PER 33倍/PBR 3.81倍
血液検査などの検体検査機器・試薬で世界トップクラス。機器を販売し試薬で継続課金する「リカーリング(消耗品)モデル」が安定収益を生む。営業利益率17.2%と高く、PER33倍と成長株評価。
ニコン7731
売上 7,153億円/営業利益率 0.3%/ROE 1%/PER 83倍/PBR 0.8倍
カメラ(映像事業)と半導体・FPD露光装置が主力だったが、スマホによるカメラ市場縮小と露光装置競争で苦戦。営業利益率0.3%・ROE1.0%と5社で際立って低調。ヘルスケア・デジタルマニュファクチャリングへの構造転換の途上。PBR0.80倍と1倍割れ。
4. よくある質問(FAQ)
Q. 精密機器・医療機器大手5社で最も収益性が高いのはどこですか?
A. ROEではHOYA(20.8%)が最も高く、営業利益率ではシスメックス(17.2%)・オリンパス(16.3%)・テルモ(15.2%)が高水準です。医療機器・半導体関連の高付加価値事業が収益性を支えています。
Q. オリンパスの強みは何ですか?
A. オリンパスは消化器内視鏡で世界シェア約7割を握る圧倒的トップ企業です。かつてのカメラ事業を売却し、医療機器に集中する構造転換に成功しました。
Q. ニコンの業績が低調なのはなぜですか?
A. スマートフォンの普及によるカメラ市場の縮小と、半導体露光装置での競争激化が背景です。2025年度は営業利益率0.3%・ROE1.0%と低調で、ヘルスケア等への構造転換の途上にあります。
5. データの出典
本記事の業績数値(売上高・営業利益・ROE)は、各社が金融庁の開示システムEDINETに提出した有価証券報告書(2025年度の本決算)のXBRLデータを、金脈コードが独自に抽出・集計したものです。 PER・PBRは1株当たり指標を直近の株価で計算したもので、株価変動により日々変化します。データ抽出時点は2026年5月です。 一部の指標は会計基準や開示区分により算出できない場合があり、その際は「—」と表示しています。 本記事は企業比較を目的とした情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。
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よくある質問
Q. 精密・医療機器セクターの収益構造の特徴は?
A. ①世界シェアの高いニッチトップが多い ②薬事規制が参入障壁として働き収益が安定しやすい ③高利益率 ④円安局面では為替メリット、という特徴があります。テルモ・オリンパス・HOYA・シスメックスは「グローバルニッチトップ」の代表格とされます。
Q. オリンパスの内視鏡シェア70%は持続しますか?
A. 中長期的には持続性高い。①医療機関の切替コスト高 (医師の使い慣れ、教育コスト) ②継続的な新製品 (AI 内視鏡、4K) ③米国市場での FDA 承認実績。脅威は ①Hoya / 富士フイルムなどの追い上げ ②中国メーカーの台頭。シェア80% → 70%へ若干低下しているが、依然圧倒的優位。
Q. ニコンのカメラ事業はどうなりますか?
A. カメラ事業は縮小・採算重視へシフト中。ニコンの戦略は ①スマホで代替できない高機能カメラ (Z シリーズミラーレス) に特化 ②利益率改善 ③半導体露光装置 + 医療機器への事業ポートフォリオ転換。カメラ事業を見るより「半導体・医療」での新展開を見るのが投資判断です。
Q. テルモの強みは?
A. 注射針・カテーテル・人工心肺装置で世界トップクラス。特に ①血液浄化システム ②心臓血管インターベンション (経カテーテル弁置換術 TAVR) ③CAR-T 細胞療法装置 でグローバル展開。海外売上比率 70% 超、ROE 12-15%、安定成長で長期保有候補。