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セクター分析

物流大手3社の業績比較 2026年|ヤマトHD・SGホールディングス・NIPPON EXPRESS

日本の物流業界を代表する3社、ヤマトホールディングス(9064)・SGホールディングス(9143)・NIPPON EXPRESS ホールディングス(9147)を、 2025年度の有価証券報告書ベースで横断比較します。EC物流の拡大と「2024年問題」後の値上げ浸透が業績にどう影響しているかを整理します。

公開: 2026-05-21更新: 2026-05-21読了目安: 約5分

1. 3社の主要指標サマリー(2025年度)

企業売上高ROEPBR自己資本比率配当利回り
ヤマトホールディングス90641.76兆円6.3%1.0847.4%2.24%
SGホールディングス91431.48兆円9.9%1.6156.2%3.33%
NIPPON EXPRESS ホールディングス91472.24兆円4.5%0.8738.8%3.68%

売上はNIPPON EXPRESSが最大ですがROEは4.5%と低調。SGHDがROE9.9%・配当利回り3.3%と総合的に最も収益性が高い数値を示しています。

2. 物流業を見るときの論点

  • EC物流の構造的拡大:ネット通販の普及で宅配個数は長期的に拡大基調。一方、再配達などのコスト高も課題。
  • 2024年問題と値上げ:ドライバーの労働時間規制で輸送能力に制約が生じ、各社が宅配料金の値上げを実施。値上げの浸透度が利益率を左右します。
  • B2C vs B2B:ヤマトは個人宅配(B2C)中心、SGは法人配送(B2B)と3PL(物流代行)の比率が高い。顧客層の違いが収益安定性に影響します。
  • 国際物流:NIPPON EXPRESSは海外売上比率が高く、フォワーディング(輸出入手配)で稼ぐ国際物流型。為替や世界貿易の影響を受けやすい。

3. 各社の特徴と事業構造

ヤマトホールディングス9064

売上 1.76兆円/ROE 6.3%/PBR 1.08倍/自己資本比率 47.4%/配当利回り 2.24%

宅急便のヤマト運輸を中核とする国内宅配最大手。B2C宅配のシェアトップ。EC物流の取り込みと、人件費・燃料費上昇下での値上げ浸透が業績の鍵。自己資本比率47.4%と財務は健全。

SGホールディングス9143

売上 1.48兆円/ROE 9.9%/PBR 1.61倍/自己資本比率 56.2%/配当利回り 3.33%

佐川急便を中核とする物流グループ。法人向け(B2B)に強く、3PL(物流アウトソーシング)も拡大。営業利益率は3社で最も高く、ROE9.9%・配当利回り3.3%。自己資本比率56.2%も3社トップ。

NIPPON EXPRESS ホールディングス9147

売上 2.24兆円/ROE 4.5%/PBR 0.87倍/自己資本比率 38.8%/配当利回り 3.68%

旧・日本通運。売上2.24兆円と3社最大で、国際物流・フォワーディング(輸出入手配)の比率が高い。海外売上比率が高くグローバル展開。営業利益率2.7%・ROE4.5%とやや低調で、PBR0.87倍と1倍割れ。

4. よくある質問(FAQ)

Q. 物流大手3社で最も売上が大きいのはどこですか?

A. 2025年度の売上高はNIPPON EXPRESS ホールディングス(旧日本通運)が約2.24兆円で最大です。次いでヤマトHD1.76兆円、SGホールディングス1.48兆円の順です。

Q. ヤマトとSG(佐川)の違いは何ですか?

A. ヤマトHDは個人向けの宅急便(B2C)に強みを持ちます。SG(佐川急便)は法人向け(B2B)配送と3PL(物流アウトソーシング)の比率が高めです。両社とも宅配大手ですが、顧客層と収益構造が異なります。

Q. 物流業界の「2024年問題」とは?

A. トラックドライバーの時間外労働の上限規制(年960時間)が2024年4月から適用された問題です。輸送能力の制約と人件費の上昇要因となり、各社は値上げ・宅配料金改定で対応。これが直近の収益性に大きく影響しています。

5. データの出典

本記事の業績数値(売上高・ROE・自己資本比率)は、各社が金融庁の開示システムEDINETに提出した有価証券報告書(2025年度=2026年3月期の本決算)のXBRLデータを、金脈コードが独自に抽出・集計したものです。 PBR・配当利回りは1株当たり指標を直近の株価で計算したもので、株価変動により日々変化します。データ抽出時点は2026年5月です。 本記事は企業比較を目的とした情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。

日本の物流業界 — 2024年問題と DX

日本の物流業界は、ヤマト HD (宅配トップ)、SG ホールディングス (佐川急便)、日本通運 (NIPPON EXPRESS HD)、セイノー HD (西濃運輸) が業界主力。EC 拡大で宅配需要は急成長、一方で人手不足と「2024年問題」(トラック運転手の残業規制) で構造課題に直面しています。 2024年問題: 2024年4月からトラック運転手の年間残業時間が 960時間に制限。輸送力 14% 不足の試算 (NX 総合研究所)、運賃値上げ + 効率化が必須となっています。 各社の戦略: ヤマトは EC 配送 + 個人向け宅配で量重視、SG は法人 BtoB 中心で利益率重視、日通は陸海空一貫輸送で総合物流、セイノーは大口貨物 + B2B。

業績を左右する論点 — 値上げ・自動化・EC

①運賃値上げ実現 2023-2024年に各社が大幅値上げ (10-20%)、利益率改善。2025年以降も継続値上げの可能性。 ②自動化・DX 配送ロボット、AI 配車最適化、自動運転トラック (実証段階)。コスト削減と人手不足対応の両面。 ③EC 連動成長 Amazon、楽天、ヤフー (ZOZO)、ZARA 等の EC 配送需要拡大。ヤマトが最大恩恵。 ④海外展開 日通は海外比率高 (フォワーディング業界世界10位)、ヤマトもアジア展開。 ⑤バリュエーション ヤマト HD PER 13-17倍、SG HD PER 13-15倍、日通 PER 8-12倍、セイノー PER 10-13倍。

物流業界の今後 — 自動化と再編

中長期トレンド: ①トラック自動運転 - 高速道路での隊列走行 - ラストワンマイル配送ロボット - 倉庫内自動化 (Amazon、ヤマトの先行例) ②モーダルシフト - トラックから鉄道・船舶へ - CO2 削減 + 人手不足対応 ③EC 物流の高度化 - 即日配達、当日配達 - 24時間配送 - スマート受取 (宅配ボックス、コンビニ受取) ④グローバル物流 - 日通の海外フォワーディング拡大 - 海外 M&A 継続 ⑤業界再編 - 中堅・地方物流の集約 - 大手間の業務提携

物流4社の財務 + 事業構成

各社の業績・主要事業: ①ヤマト HD (9064): 売上 1.8兆円、営業利益 700億円、営業利益率 4% - 宅急便 (法人 + 個人)、EC 配送 - 国内宅配シェア No.1 (約45%) - 配当利回り 2.5-3%、PER 13-17倍 - DX 投資 (ロボット倉庫、AI 配車) 加速 ②SGホールディングス (9143): 売上 1.5兆円、営業利益 1,100億円、営業利益率 7% - 佐川急便、ロジスティクス、不動産 (物流施設) - 法人 BtoB 中心で利益率高め - 配当利回り 2.5%、PER 13-15倍 ③NIPPON EXPRESS HD (9147): 売上 2.4兆円、営業利益 500億円 - 陸海空フォワーディング、グローバル展開先進 - 海外比率 40% (アジア、米欧) - 配当利回り 3%、PER 8-12倍 (バリュー) ④セイノー HD (9076): 売上 7,000億円、営業利益 200億円 - 西濃運輸 (大口貨物)、物流不動産 - BtoB 中心、安定収益 - 配当利回り 3-4%、PER 10-13倍 長期投資視点: EC 連動成長のヤマト、利益率重視の SG、グローバル物流の日通、バリューの セイノー。2024年問題対応 + 値上げ実現で全体業績改善傾向。

よくある質問

Q. 物流4社のうち、どれが投資先?

A. EC 連動成長のヤマト HD、利益率重視の SG HD、グローバル物流の日通。投資テーマで選別。配当狙いなら日通 (利回り 3% 超)、成長狙いならヤマト・SG。

Q. 2024年問題で物流株はどうなる?

A. 短期的にコスト圧迫だが、運賃値上げ実現で中長期はプラス。輸送力不足 → 大手集中 → 大手の交渉力強化。中堅・小規模の物流会社は淘汰、大手はシェア拡大の機会。

Q. 物流株は EC で恩恵?

A. はい、特にヤマト HD が最大恩恵。EC 配送量は年率5-10% 拡大、宅配需要は構造的に拡大。ただし利益率は配送単価との戦いで、値上げ実現が鍵。

Q. 自動運転トラックはいつ実用化?

A. 高速道路での隊列走行は 2025-2027年実用化、完全自動運転は 2030年代。実用化されれば人件費削減で大きなインパクト。準備進行中の大手が有利。