1. 3社の主要指標サマリー(2025年度)
| 企業 | 経常収益 | ROE | PER | PBR | 配当利回り |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京海上ホールディングス8766 | 8.44兆円 | 20.7% | 10.6倍 | 2.17倍 | 2.54% |
| SOMPOホールディングス8630 | 5.45兆円 | 14.8% | 18倍 | 1.49倍 | 2.32% |
| MS&ADインシュアランスグループ8725 | 5.28兆円 | 17.1% | 7.24倍 | 1.22倍 | 3.67% |
ROEは3社とも14〜21%と高水準。なかでもMS&ADはROE17.1%でありながらPER7.2倍・配当利回り3.7%と、割安感が際立っています。
2. 政策保有株売却と資本効率改善
損保3メガに共通する近年最大のテーマが政策保有株(持ち合い株)の売却です。 損保各社は取引先の株式を長年大量に保有してきましたが、保険本業と関係の薄い株式リスクを抱えることへの批判が強まり、 金融庁の要請もあって全社が政策保有株のゼロ化を打ち出しています。
- ROEの押し上げ:政策保有株を売却して得た資金を自社株買いや増配に回すことで、ROEが構造的に改善します。3社のROEが14〜21%と高いのはこの効果が出ているためです。
- 株主還元の拡大:売却益と資本の効率化により、3社とも増配・自社株買いに積極的。損保株が「安定高配当株」として注目される背景です。
- 本業の収益力:自然災害の発生状況により損害率が変動するため、本業(保険引受)の利益は年度によって振れます。投資収益と保険本業を分けて見ることが重要です。
3. 各社の特徴と事業構造
東京海上ホールディングス8766
経常収益 8.44兆円/ROE 20.7%/PER 10.6倍/PBR 2.17倍/配当利回り 2.54%
損保3メガで売上・時価総額ともに最大。ROE20.7%は3社トップで、海外保険事業(米フィラデルフィア等)の比率が高くグローバル分散が効いている。PBR2.17倍は3社で最も高く、市場が最も高く評価する1社。
SOMPOホールディングス8630
経常収益 5.45兆円/ROE 14.8%/PER 18倍/PBR 1.49倍/配当利回り 2.32%
損保ジャパンを中核に、介護事業(SOMPOケア)やデジタル事業も展開。3社のなかでは国内損保+介護という独自ポートフォリオ。ROE14.8%、PER18倍。事業の多角化が評価の分かれ目。
MS&ADインシュアランスグループ8725
経常収益 5.28兆円/ROE 17.1%/PER 7.24倍/PBR 1.22倍/配当利回り 3.67%
三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保を抱える。ROE17.1%と高水準ながらPER7.2倍・PBR1.22倍と3社で最も割安。配当利回り3.7%も3社トップ。「高ROE×低PER×高配当」が揃ったバリュー的な位置づけ。
4. データの出典と注意点
本記事の業績数値は、各社が金融庁 EDINET に提出した有価証券報告書を金脈コードが独自に抽出・集計したものです(2025年度決算ベース)。 保険業の「経常収益」は保険料収入・運用収益等を含む損保業界特有の収益概念で、製造業の売上高とは性質が異なります。 PER・PBR・配当利回りは直近株価ベースで算出しており、株価変動により日々変化します。 本記事は企業比較であり投資助言ではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。
日本の保険業界 — 損保3社 vs 生保
業績を左右する論点 — 海外展開・金利・自然災害
保険業界の今後 — DX・気候変動・新事業
保険4社の財務と配当戦略 詳細
よくある質問
Q. 保険3社のうち、どれが投資先?
A. グローバル + 海外戦略の東京海上 HD が本命。バリュー + 配当狙いなら MS&AD・SOMPO。各社で海外比率・自然災害感応度が異なる。
Q. 利上げで保険株はどれくらい上がる?
A. 生保 (第一生命) が最大の恩恵。運用資産の利回り改善 + 新規契約の予定利率引き上げで、長期的な収益基盤強化。短期的にも金利上昇期の評価リレート期待。
Q. 自然災害が増えると保険会社は苦しい?
A. 短期的にはマイナス (支払い増)。中長期的には再保険料値上げ + 保険料値上げで吸収可能。気候変動リスクは保険業界の構造課題、しかし対応できる企業が長期的に勝者。
Q. 日生・明治安田は上場していますか?
A. 生保最大手3社 (日本生命、明治安田、住友生命) は相互会社形態を維持し非上場。上場している大手生保は第一生命 HD と かんぽ生命 (日本郵政傘下) のみ。