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セクター分析

損害保険大手3社の業績比較 2026年|東京海上・SOMPO・MS&ADの配当とROE

日本の損害保険業界を支配する「3メガ損保」、東京海上ホールディングス(8766)・SOMPOホールディングス(8630)・MS&ADインシュアランスグループ(8725)を、 2025年度の有価証券報告書ベースで横断比較します。政策保有株の売却と資本効率改善という、損保業界共通のテーマも整理します。

公開: 2026-05-21更新: 2026-05-21読了目安: 約6分

1. 3社の主要指標サマリー(2025年度)

企業経常収益ROEPERPBR配当利回り
東京海上ホールディングス87668.44兆円20.7%10.62.172.54%
SOMPOホールディングス86305.45兆円14.8%181.492.32%
MS&ADインシュアランスグループ87255.28兆円17.1%7.241.223.67%

ROEは3社とも14〜21%と高水準。なかでもMS&ADはROE17.1%でありながらPER7.2倍・配当利回り3.7%と、割安感が際立っています。

2. 政策保有株売却と資本効率改善

損保3メガに共通する近年最大のテーマが政策保有株(持ち合い株)の売却です。 損保各社は取引先の株式を長年大量に保有してきましたが、保険本業と関係の薄い株式リスクを抱えることへの批判が強まり、 金融庁の要請もあって全社が政策保有株のゼロ化を打ち出しています。

  • ROEの押し上げ:政策保有株を売却して得た資金を自社株買いや増配に回すことで、ROEが構造的に改善します。3社のROEが14〜21%と高いのはこの効果が出ているためです。
  • 株主還元の拡大:売却益と資本の効率化により、3社とも増配・自社株買いに積極的。損保株が「安定高配当株」として注目される背景です。
  • 本業の収益力:自然災害の発生状況により損害率が変動するため、本業(保険引受)の利益は年度によって振れます。投資収益と保険本業を分けて見ることが重要です。

3. 各社の特徴と事業構造

東京海上ホールディングス8766

経常収益 8.44兆円/ROE 20.7%/PER 10.6倍/PBR 2.17倍/配当利回り 2.54%

損保3メガで売上・時価総額ともに最大。ROE20.7%は3社トップで、海外保険事業(米フィラデルフィア等)の比率が高くグローバル分散が効いている。PBR2.17倍は3社で最も高く、市場が最も高く評価する1社。

SOMPOホールディングス8630

経常収益 5.45兆円/ROE 14.8%/PER 18倍/PBR 1.49倍/配当利回り 2.32%

損保ジャパンを中核に、介護事業(SOMPOケア)やデジタル事業も展開。3社のなかでは国内損保+介護という独自ポートフォリオ。ROE14.8%、PER18倍。事業の多角化が評価の分かれ目。

MS&ADインシュアランスグループ8725

経常収益 5.28兆円/ROE 17.1%/PER 7.24倍/PBR 1.22倍/配当利回り 3.67%

三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保を抱える。ROE17.1%と高水準ながらPER7.2倍・PBR1.22倍と3社で最も割安。配当利回り3.7%も3社トップ。「高ROE×低PER×高配当」が揃ったバリュー的な位置づけ。

4. データの出典と注意点

本記事の業績数値は、各社が金融庁 EDINET に提出した有価証券報告書を金脈コードが独自に抽出・集計したものです(2025年度決算ベース)。 保険業の「経常収益」は保険料収入・運用収益等を含む損保業界特有の収益概念で、製造業の売上高とは性質が異なります。 PER・PBR・配当利回りは直近株価ベースで算出しており、株価変動により日々変化します。 本記事は企業比較であり投資助言ではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。

日本の保険業界 — 損保3社 vs 生保

日本の保険業界は、損害保険3社 (東京海上HD、MS&AD、SOMPO HD) と生命保険主要4社 (日本生命、第一生命、明治安田、住友生命) で構成。上場している主要は損保3社と第一生命HD。 損保3社は規模で世界トップ10入り、自動車保険・火災保険・海外保険で多角化。東京海上 HD は米HCC (損保大手) 買収など海外展開積極的、MS&AD は MS Amlin (英損保)、SOMPO は米国 Endurance 等。 第一生命 HD は2010年上場、米国 Protective Life など海外子会社で成長。日生・明治安田・住友生命は非上場の相互会社形態を維持。

業績を左右する論点 — 海外展開・金利・自然災害

①海外展開 損保3社は海外売上比率 30-50% で構造的成長。東京海上 HD が最積極的、買収継続中。 ②金利上昇恩恵 保険会社は巨額の運用資産 (国債・社債・株式) を持ち、金利上昇で運用収益拡大。生保は伝統的に低金利時代に苦戦してきたため、利上げで構造的に恩恵。 ③自然災害リスク 火災保険は風水害・地震で巨額支払いリスク。気候変動で大型台風・豪雨頻発、保険料値上げ実現が課題。 ④配当・株主還元 損保3社は配当利回り 3-4%、第一生命 4-5% で高配当銘柄。 ⑤バリュエーション 東京海上 PER 13-15倍、MS&AD PER 10-13倍、SOMPO PER 11-13倍、第一生命 PER 8-12倍。

保険業界の今後 — DX・気候変動・新事業

中長期トレンド: ①DX - スマホ完結保険申込 - AI 査定 - IoT 連動保険 (テレマティクス自動車保険) ②気候変動対応 - 火災保険料値上げ - 巨大災害引受体制 - 再保険コスト上昇 ③新事業 - 介護・健康増進 - サイバーセキュリティ保険 - スタートアップ向け D&O 保険 ④海外 M&A - 米欧・新興国の保険会社買収継続 - 東京海上が最積極的 ⑤政策保険 - 政府 PPP (官民連携) - 災害保険プール

保険4社の財務と配当戦略 詳細

各社の業績・配当: ①東京海上 HD (8766) - 売上 7.4兆円、純利益 7,000億円超 - 海外比率 50% (米HCC、英Kiln、欧豪伯) - 配当利回り 3.5%、自社株買いで総還元性向 60% - PER 13-15倍、PBR 1.5倍 - M&A 積極 (米欧買収継続) ②MS&AD HD (8725) - 売上 5.7兆円、純利益 3,500億円 - MS Amlin (英)、ChAUB (アジア) で海外展開 - 配当利回り 3.5%、配当性向 50% - PER 10-13倍、PBR 1倍前後 ③SOMPO HD (8630) - 売上 4.5兆円、純利益 3,000億円 - 米国 Endurance、介護事業 (SOMPO ケア) で多角化 - 配当利回り 3.5%、PER 11-13倍 ④第一生命 HD (8750) - 売上 8.7兆円、純利益 3,000億円超 - 米国 Protective Life で海外展開 - 配当利回り 4-5%、PER 8-12倍 - 利上げ局面で運用収益拡大期待 長期投資視点: 保険4社とも高配当 (3.5-5%) + バリュー (PER 10倍前後) で長期インカム狙いに最適。グローバル展開済で為替効果、利上げで運用収益改善のダブル恩恵。気候変動による自然災害リスクは織り込み済、保険料値上げで対応可能。

よくある質問

Q. 保険3社のうち、どれが投資先?

A. グローバル + 海外戦略の東京海上 HD が本命。バリュー + 配当狙いなら MS&AD・SOMPO。各社で海外比率・自然災害感応度が異なる。

Q. 利上げで保険株はどれくらい上がる?

A. 生保 (第一生命) が最大の恩恵。運用資産の利回り改善 + 新規契約の予定利率引き上げで、長期的な収益基盤強化。短期的にも金利上昇期の評価リレート期待。

Q. 自然災害が増えると保険会社は苦しい?

A. 短期的にはマイナス (支払い増)。中長期的には再保険料値上げ + 保険料値上げで吸収可能。気候変動リスクは保険業界の構造課題、しかし対応できる企業が長期的に勝者。

Q. 日生・明治安田は上場していますか?

A. 生保最大手3社 (日本生命、明治安田、住友生命) は相互会社形態を維持し非上場。上場している大手生保は第一生命 HD と かんぽ生命 (日本郵政傘下) のみ。