記事一覧に戻る

企業分析

メルカリの決算・業績分析 2026年|売上推移・営業利益・ROEを8年分で読む

フリマアプリ最大手のメルカリ(証券コード 4385)について、 2018年の上場から2025年6月期までの有価証券報告書を元に、売上高・営業利益・純利益・ROEの推移を分析します。 「赤字を掘りながら成長した会社」が「利益を出す会社」へ転換した軌跡を、実データで追います。

公開: 2026-05-21更新: 2026-05-21読了目安: 約7分

1. 業績推移(2018〜2025年6月期)

メルカリの決算期は6月です。上場以来8期の主要数値をまとめます。

決算期売上高営業利益純利益営業利益率ROE
2018年6月期358億円-47.4億円-70.4億円-13.3%-12.9%
2019年6月期517億円-122億円-138億円-23.6%-27%
2020年6月期763億円-194億円-228億円-25.4%-64.4%
2021年6月期1,061億円49.8億円57.2億円4.7%14.3%
2022年6月期1,470億円-39.0億円-75.7億円-2.7%-19.9%
2023年6月期1,721億円174億円131億円10.1%23.7%
2024年6月期1,874億円175億円135億円9.3%19.7%
2025年6月期1,926億円278億円261億円14.5%26.3%

※ 2026年6月期は本記事公開時点で進行中のため未掲載。最新の四半期データはメルカリの企業ページでご確認ください。

2. 赤字から黒字化への3つの転換点

メルカリの8年間は、単純な右肩上がりではありません。売上は一貫して伸びる一方、利益は「黒字→赤字→黒字」と揺れています。 この揺れを理解することがメルカリ分析の核心です。

  • ① 成長投資期(2018〜2020年): 売上は358億→763億円と倍増する一方、営業損益は赤字が拡大(-47億→-194億円)。 これはテレビCMなど大型マーケティングと米国事業の先行投資を意図的に行った時期で、「赤字を掘ってシェアを取る」フェーズでした。
  • ② 初の黒字化と反落(2021〜2022年): 2021年6月期に営業利益49.8億円で初の黒字化。しかし翌2022年は再び営業赤字-39億円に転落しました。 メルペイ(決済)の先行投資や米国事業の継続赤字が背景です。「黒字化したのに、また赤字」という難しい時期でした。
  • ③ 安定黒字化(2023〜2025年): 2023年6月期に営業利益174億円で本格的な黒字に復帰し、以降は2024年175億円、2025年278億円と利益が定着。 ROEも2025年は26.3%と高水準です。投資フェーズが一巡し、国内フリマ事業の収益でグループ全体を支えられる構造になりました。

3. 直近の収益力をどう評価するか

2025年6月期は売上1,926億円・営業利益278億円・営業利益率14.5%・ROE26.3%。 数字だけ見れば「高成長・高収益のIT企業」です。評価のポイントを整理します。

  • 営業利益率の改善:2023年10.1%→2024年9.3%→2025年14.5%と、利益率が明確に向上。値引き販促への依存を減らし、手数料収益で稼ぐ体質に移行しています。
  • ROE26%の中身:高ROEは収益性の高さを示しますが、メルカリは自己資本比率が低め(メルペイの預り金などが負債計上されるビジネスモデル上の特性)で、財務レバレッジもROEを押し上げています。ROEの高さは利益率改善とレバレッジの両方で読む必要があります。
  • 国内と米国の二層構造:安定的に稼ぐ国内フリマ事業と、依然として投資フェーズの米国事業(Mercari US)という構造。グループ全体の利益は国内が支えており、米国事業の収益化の進捗が今後の注目点です。

4. メルカリの事業リスク

  • 国内フリマ市場の成熟:日本のフリマアプリ市場は普及が進み、爆発的な利用者増は望みにくい段階。GMV(流通総額)の伸び鈍化は利益成長の制約になります。
  • 競合の存在:楽天ラクマ、Yahoo!フリマなど競合が存在し、手数料率の引き上げ余地は限定的です。
  • 米国事業の不確実性:Mercari US は黒字化の時期が読みにくく、為替変動の影響も受けます。
  • 規制・不正対応:個人間取引特有のトラブル、不正出品、決済(メルペイ)に関する金融規制への対応コストが継続的に発生します。

メルカリの最新の決算数値・四半期推移・セグメント情報・AI分析レポートはメルカリの企業ページで確認できます。

5. データの出典

本記事の業績数値は、メルカリが金融庁 EDINET に提出した有価証券報告書を金脈コードが独自に抽出・集計したものです。 メルカリの決算期は6月で、表中の「○年6月期」はその会計年度を指します。 本記事は企業分析であり、投資を推奨するものではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。

メルカリの歩みと国内 C2C 市場の覇権

メルカリは2013年創業、2018年マザーズ上場 (初値約 5,000円、時価総額約 7,000億円)。スマホ完結のフリマアプリで国内 C2C (個人間取引) 市場を席巻。月間アクティブユーザー数 (MAU) 約 2,300万人、流通総額年間1兆円超に到達。 事業セグメント: ①Marketplace (国内フリマ、メルカリ本体) ②Fintech (メルペイ、メルカード、後払い決済) ③US (米国メルカリ、長年赤字続き)。 国内マーケットプレイスは黒字定着、Fintech も黒字転換、US 事業は依然として赤字続きで戦略の鍵。

業績を左右する論点 — US事業・Fintech・競合

①US 事業の収益化 2014年米国進出、長年赤字続き。2024年に黒字化目標もまだ実現未達。Poshmark (Naver傘下) や OfferUp との競合激しい。 ②Fintech 事業の成長 メルペイ・メルカード・後払いで決済事業拡大。クレジットカード事業 (メルカード) で楽天・PayPay と競合。 ③国内市場の成熟 国内フリマ市場は飽和気味、流通総額成長は緩やか。手数料率引き上げで利益率改善狙う。 ④競合 楽天ラクマ、Yahoo!フリマ (旧 PayPay フリマ) との競争。中古品市場全体の拡大が追い風。 ⑤バリュエーション PER は時期により変動大、PSR (株価売上倍率) で評価する場合が多い。

メルカリの今後 — US 事業の正念場

中長期トレンド: ①US 事業の正念場 2025-2027年で黒字化できなければ撤退検討も。投資家の関心は最大焦点。 ②Fintech 拡大 - メルカード (クレジットカード) 200万枚突破 - メルコイン (暗号資産) - メルペイ加盟店拡大 ③AI 活用 出品支援 AI、商品認識、不正検出。AI で出品ハードル下げて活性化。 ④グローバル戦略 US 以外の海外展開は限定的、まずは US 黒字化が優先。 ⑤循環型経済 リユース・サステナビリティの追い風、ESG 投資対象として評価。

メルカリの財務指標の見方

メルカリ (4385) の主要指標: - 売上: 約 1,800億円 (年率 +15-20%) - 営業利益: 100-200億円 (赤字脱却後の安定化フェーズ) - 国内 GMV (流通取引総額): 1.1兆円超 - MAU: 約 2,300万人 - 配当: なし (再投資型) - ROE: 5-10% - PER: 30-50倍 (高 PER グロース) - 時価総額: 5,000億-1兆円規模 事業別収益: - Marketplace (国内フリマ): 黒字、安定収益 - Fintech (メルペイ、メルカード): 2024年に黒字転換、ユーザー1,500万 - US (米国メルカリ): 赤字続き、累積損失大きい 成長戦略: ①US 黒字化 (2025-2027年が正念場) ②メルカード (クレジットカード) 200万枚突破、Fintech 拡大 ③AI 出品支援、AI 商品認識 ④メルコイン (暗号資産) 事業 リスク: ①US 事業の黒字化失敗 ②国内市場成熟 ③競合 (楽天ラクマ、Yahoo!フリマ) ④Fintech の楽天・PayPay との競争 投資視点: ハイリスク・ハイリターン銘柄、US 黒字化シナリオの実現次第。

よくある質問

Q. メルカリの業績の振れ幅が大きい理由は?

A. 国内フリマ事業が安定的に利益を出す一方、US 事業の損益が全体業績を大きく左右する構造だからです。US 事業の黒字化と Fintech (メルペイ) の拡大が実現するかどうかで、業績シナリオが大きく分かれます。

Q. なぜ US メルカリは赤字続き?

A. ①US の C2C 市場が日本と異なる構造 (Craigslist 等が強い) ②マーケティングコスト高 ③物流・カスタマーサービスコスト ④競合 (Poshmark, OfferUp, Facebook Marketplace) 激化。日本のように一気に席巻できなかった。

Q. メルペイ・メルカードは成功?

A. 成長中。メルペイユーザー1,500万超、メルカード200万枚突破。ただし楽天 Pay・PayPay の規模には及ばず、Fintech 単独黒字は2024年に達成も収益貢献はまだ限定的。

Q. メルカリの競合は誰?

A. ①国内: 楽天ラクマ、Yahoo!フリマ (PayPay フリマ) ②グローバル: eBay (新品+中古)、StockX (限定品)、Vinted (欧州フリマ) ③Fintech: 楽天・PayPay・LINE。多方面の競争に晒されている。