1. 業績推移(2018〜2025年6月期)
メルカリの決算期は6月です。上場以来8期の主要数値をまとめます。
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 営業利益率 | ROE |
|---|---|---|---|---|---|
| 2018年6月期 | 358億円 | -47.4億円 | -70.4億円 | -13.3% | -12.9% |
| 2019年6月期 | 517億円 | -122億円 | -138億円 | -23.6% | -27% |
| 2020年6月期 | 763億円 | -194億円 | -228億円 | -25.4% | -64.4% |
| 2021年6月期 | 1,061億円 | 49.8億円 | 57.2億円 | 4.7% | 14.3% |
| 2022年6月期 | 1,470億円 | -39.0億円 | -75.7億円 | -2.7% | -19.9% |
| 2023年6月期 | 1,721億円 | 174億円 | 131億円 | 10.1% | 23.7% |
| 2024年6月期 | 1,874億円 | 175億円 | 135億円 | 9.3% | 19.7% |
| 2025年6月期 | 1,926億円 | 278億円 | 261億円 | 14.5% | 26.3% |
※ 2026年6月期は本記事公開時点で進行中のため未掲載。最新の四半期データはメルカリの企業ページでご確認ください。
2. 赤字から黒字化への3つの転換点
メルカリの8年間は、単純な右肩上がりではありません。売上は一貫して伸びる一方、利益は「黒字→赤字→黒字」と揺れています。 この揺れを理解することがメルカリ分析の核心です。
- ① 成長投資期(2018〜2020年): 売上は358億→763億円と倍増する一方、営業損益は赤字が拡大(-47億→-194億円)。 これはテレビCMなど大型マーケティングと米国事業の先行投資を意図的に行った時期で、「赤字を掘ってシェアを取る」フェーズでした。
- ② 初の黒字化と反落(2021〜2022年): 2021年6月期に営業利益49.8億円で初の黒字化。しかし翌2022年は再び営業赤字-39億円に転落しました。 メルペイ(決済)の先行投資や米国事業の継続赤字が背景です。「黒字化したのに、また赤字」という難しい時期でした。
- ③ 安定黒字化(2023〜2025年): 2023年6月期に営業利益174億円で本格的な黒字に復帰し、以降は2024年175億円、2025年278億円と利益が定着。 ROEも2025年は26.3%と高水準です。投資フェーズが一巡し、国内フリマ事業の収益でグループ全体を支えられる構造になりました。
3. 直近の収益力をどう評価するか
2025年6月期は売上1,926億円・営業利益278億円・営業利益率14.5%・ROE26.3%。 数字だけ見れば「高成長・高収益のIT企業」です。評価のポイントを整理します。
- 営業利益率の改善:2023年10.1%→2024年9.3%→2025年14.5%と、利益率が明確に向上。値引き販促への依存を減らし、手数料収益で稼ぐ体質に移行しています。
- ROE26%の中身:高ROEは収益性の高さを示しますが、メルカリは自己資本比率が低め(メルペイの預り金などが負債計上されるビジネスモデル上の特性)で、財務レバレッジもROEを押し上げています。ROEの高さは利益率改善とレバレッジの両方で読む必要があります。
- 国内と米国の二層構造:安定的に稼ぐ国内フリマ事業と、依然として投資フェーズの米国事業(Mercari US)という構造。グループ全体の利益は国内が支えており、米国事業の収益化の進捗が今後の注目点です。
4. メルカリの事業リスク
- 国内フリマ市場の成熟:日本のフリマアプリ市場は普及が進み、爆発的な利用者増は望みにくい段階。GMV(流通総額)の伸び鈍化は利益成長の制約になります。
- 競合の存在:楽天ラクマ、Yahoo!フリマなど競合が存在し、手数料率の引き上げ余地は限定的です。
- 米国事業の不確実性:Mercari US は黒字化の時期が読みにくく、為替変動の影響も受けます。
- 規制・不正対応:個人間取引特有のトラブル、不正出品、決済(メルペイ)に関する金融規制への対応コストが継続的に発生します。
メルカリの最新の決算数値・四半期推移・セグメント情報・AI分析レポートはメルカリの企業ページで確認できます。
5. データの出典
本記事の業績数値は、メルカリが金融庁 EDINET に提出した有価証券報告書を金脈コードが独自に抽出・集計したものです。 メルカリの決算期は6月で、表中の「○年6月期」はその会計年度を指します。 本記事は企業分析であり、投資を推奨するものではありません。投資判断の最終責任はご自身でお願いします。
メルカリの歩みと国内 C2C 市場の覇権
業績を左右する論点 — US事業・Fintech・競合
メルカリの今後 — US 事業の正念場
メルカリの財務指標の見方
よくある質問
Q. メルカリの業績の振れ幅が大きい理由は?
A. 国内フリマ事業が安定的に利益を出す一方、US 事業の損益が全体業績を大きく左右する構造だからです。US 事業の黒字化と Fintech (メルペイ) の拡大が実現するかどうかで、業績シナリオが大きく分かれます。
Q. なぜ US メルカリは赤字続き?
A. ①US の C2C 市場が日本と異なる構造 (Craigslist 等が強い) ②マーケティングコスト高 ③物流・カスタマーサービスコスト ④競合 (Poshmark, OfferUp, Facebook Marketplace) 激化。日本のように一気に席巻できなかった。
Q. メルペイ・メルカードは成功?
A. 成長中。メルペイユーザー1,500万超、メルカード200万枚突破。ただし楽天 Pay・PayPay の規模には及ばず、Fintech 単独黒字は2024年に達成も収益貢献はまだ限定的。
Q. メルカリの競合は誰?
A. ①国内: 楽天ラクマ、Yahoo!フリマ (PayPay フリマ) ②グローバル: eBay (新品+中古)、StockX (限定品)、Vinted (欧州フリマ) ③Fintech: 楽天・PayPay・LINE。多方面の競争に晒されている。