実測データ分析
配当性向の「ふつう」はどこか|全上場企業2,662社の分布を実測【2026年版】
公開: 2026-07-05 ・ 更新: 2026-07-05 ・ 著者: 金脈コード運営事務局
「配当性向は30〜50%が目安」という説明は多くの入門書に載っていますが、実際の上場企業はどこに分布しているのでしょうか。 金脈コードは全上場企業の有価証券報告書XBRLから1株配当とEPSを抽出し、最新年度(通期)の配当性向を機械的に計算・集計しました。 母集団は「配当を出しており、かつEPSがプラス」の2,662社です。 本記事はデータの実測に基づく情報提供であり、投資助言ではありません。
実測: 配当性向の分布(最新年度・通期)
| 配当性向 | 社数 | 構成比 | 分布バー |
|---|---|---|---|
| 0〜10% | 167社 | 6.3% | |
| 10〜20% | 443社 | 16.6% | |
| 20〜30% | 662社 | 24.9% | |
| 30〜40% | 543社 | 20.4% | |
| 40〜50% | 282社 | 10.6% | |
| 50〜70% | 245社 | 9.2% | |
| 70〜100% | 157社 | 5.9% | |
| 100%超 | 163社 | 6.1% |
中央値は31.0%でした。最も厚いゾーンは20〜30%(662社・24.9%)で、 10〜40%の範囲に全体の約62%が収まります。「30%前後がボリュームゾーン」という教科書的な説明は、 全数データでもおおむね裏付けられる形です。
一方で分布には長い右裾があります。配当性向70%超は320社(12.0%)、うち100%超が163社(6.1%)。 100%超とは「その年の純利益より多くの配当を出した」状態で、一時的な減益の年に配当額を維持した場合や、 記念配当、DOE(株主資本配当率)など純利益以外を基準にした配当方針の場合に発生します。
なお、この母集団の外側にEPSがマイナス(赤字)の企業が443社、無配の企業が550社あります。 赤字企業の配当性向は計算上意味を持たないため(マイナスや発散した値になる)、当サイトの企業ページでも配当性向を表示せず「-」としています。
業種で「ふつう」は変わる
配当性向の中央値を業種別(対象20社以上の業種)に見ると、上位と下位で10ポイント以上の差があります。
中央値が高い業種 トップ5
| その他金融業 | 38.6% | n=28 |
| 医薬品 | 37.6% | n=30 |
| 鉄鋼 | 37.1% | n=33 |
| サービス業 | 34.4% | n=298 |
| 化学 | 33.9% | n=173 |
中央値が低い業種 トップ5
| 電気・ガス業 | 22.9% | n=22 |
| 海運業 | 23.6% | n=56 |
| 銀行業 | 24.5% | n=25 |
| 不動産業 | 28.4% | n=99 |
| 卸売業 | 28.4% | n=194 |
医薬品・鉄鋼など成熟産業や、利益の安定した金融関連で中央値が高く、 設備投資・市況変動の大きい電気・ガス、海運、不動産で低い傾向が出ています。 海運業の中央値が23.6%と低いのは、市況で純利益が大きく振れるため、配当額に対してEPSが大きい年が続いたことを反映しています。
同じ「配当性向30%」でも、業種の中央値が23%の業種と38%の業種では相対的な位置づけが異なります。 個別企業を評価する際は、配当性向ランキングの業種フィルタで同業と並べて確認するのが確実です。
配当性向を読むときの注意点
① 単年の値はEPSのブレに引きずられる。配当性向の分母は当期純利益です。特別損益や減損で純利益が振れると、配当方針が変わっていなくても配当性向は大きく動きます。 3〜5年並べて見るのが基本です(当サイトの企業ページでは年度別推移を表示しています)。
② 100%超は「タコ配」とは限らない。一時的な減益年に配当を維持した結果のこともあれば、DOE採用企業が意図した水準のこともあります。 バランスシート(利益剰余金・自己資本比率)とキャッシュフローを併せて確認する必要があります。
③ 低い配当性向は「株主軽視」とは限らない。成長投資や自社株買いに資本を振り向けている場合もあります。総還元性向(配当+自社株買い)で見ると印象が変わる企業も多くあります。
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よくある質問
Q. 配当性向の平均は何%ですか?
A. 当サイトの全数集計(配当あり・EPSプラスの2,662社、最新年度)では中央値が31.0%でした。単純平均は100%超の外れ値に引きずられて41.1%になるため、代表値としては中央値の方が実態に近い数字です。
Q. 配当性向100%超の企業は163社もあるのはなぜ?
A. 最も多いパターンは「一時的な減益・特別損失の年に配当額を維持した」ケースです。ほかに記念配当や、純利益でなく株主資本を基準とするDOE採用企業でも発生します。継続的に100%を超えている場合は利益剰余金の取り崩しを伴うため、財務諸表での確認が必要です。
Q. 無配の上場企業はどのくらいありますか?
A. 当サイトの集計では最新年度に無配の企業が550社、EPSがマイナス(赤字)の企業が443社ありました。成長段階で配当より投資を優先する企業と、業績要因で無配の企業の両方が含まれます。
本記事は有価証券報告書のXBRLデータの全数集計に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 集計は金脈コードのデータベース(最新年度・通期ベース)によるもので、集計時点により数値は変動します。 配当性向の計算はすべて機械検算(1株配当÷EPS)でチェックしています。