実測データ分析
四半期報告書廃止から2年|開示は実際どう変わったか【全上場企業の提出実態を実測】
公開: 2026-07-05 ・ 更新: 2026-07-05 ・ 著者: 金脈コード運営事務局
2024年4月1日以後に開始する事業年度から、金融商品取引法上の「四半期報告書」(第1・第3四半期)が廃止され、 法定の期中開示は「半期報告書」に一本化されました。制度変更の解説記事は数多くありますが、 「実際に企業の提出行動はどう変わったのか」を全数データで確認したものはほとんどありません。 本記事では、金脈コードが取り込んだ全上場企業のXBRL報告書を期別に集計し、移行の実態を実数で示します。 本記事は制度と実測データの整理であり、投資助言ではありません。
制度変更の要点(2024年4月〜)
廃止されたもの: 金商法上の四半期報告書(第1四半期・第3四半期)。 従来は監査人のレビューを受けた法定書類として、四半期ごとにEDINETへ提出されていました。
残ったもの・新設されたもの: 第1・第3四半期の業績開示は取引所ルールの「四半期決算短信」に一本化。 中間期については「半期報告書」の提出が義務化され、監査人による期中レビューの対象となります。
狙い: 開示の重複(四半期報告書と決算短信でほぼ同じ内容を二重作成)の解消と、 企業の開示コスト削減。一方で、第1・第3四半期は法定書類・監査人レビューの外に出たことになります。
実測: 期中報告書の提出はこう変わった
金脈コードのデータベースに取り込んだ期中報告書(XBRL)の件数を、会計年度×期別に集計したのが次の表です。 対象は日本の全上場企業で、集計は当サイトの取込ベース(EDINET提出の全数と厳密には一致しない場合があります)。
| 会計年度 | 第1四半期 | 中間期(半期/Q2) | 第3四半期 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 2,716社 | 2,706社 | 2,473社 | |
| 2022年度 | 2,784社 | 2,783社 | 2,543社 | |
| 2023年度 | 2,863社 | 2,847社 | 2,600社 | |
| 2024年度 | 2,937社 | 2,918社 | 2,653社 | 四半期報告書の最終年度 |
| 2025年度 | 433社 | 1,929社 | 0社 | 移行期 (2024年4月以後開始年度から新制度) |
| 2026年度 | 261社 | 2,499社 | 562社 | 半期報告書へ一本化 |
表から読み取れる変化は明快です。2024年度までは第1・第3四半期の報告書が毎期2,500〜2,900社分提出されていたのに対し、 新制度が適用された2025年度以降、第3四半期の法定報告はゼロになり、第1四半期も経過措置・決算期ずれによる残存分(433社→261社)を残すのみとなりました。
代わりに中間期は半期報告書として残り、2026年度は2,499社の半期報告書を確認できます。 2025年度の中間期件数(1,929社)が前後より少ないのは、決算期によって新旧制度の適用開始がずれるためです。
つまり「四半期ごとに監査人レビュー付きの法定書類が出る時代」は終わり、年度の途中でEDINETから取得できる法定財務データは、実質的に半期報告書の1回だけになりました。
データ利用者にとって何が変わるか
① 第1・第3四半期は「短信のみ」になった。四半期決算短信は監査人レビューが原則不要で、XBRLの粒度も有報より粗いのが実情です。 期中の業績を追う場合、情報源の性質(法定書類か取引所開示か)を意識する必要があります。
② 半期報告書の重要性が上がった。年度途中で唯一の法定書類となったため、中間期の財務諸表・注記を確認する起点になります。 金脈コードでは半期報告書のXBRLを四半期業績セクションに取り込み、通期の有報と明確に区別して表示しています (中間期の数値が年度業績に混入しないよう、XBRLの会計期間コンテキストで機械的に検証しています)。
③ 決算データベースは「期間の区別」がより重要になった。半期の売上高は通期のおよそ半分です。期間の異なる数値を並べると前年比が大きく歪むため、 当サイトでは通期(約12ヶ月)と中間期(約6ヶ月)をコンテキストで判定し、別々の系列として扱っています。
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よくある質問
Q. 四半期決算の発表自体がなくなったのですか?
A. なくなっていません。第1・第3四半期の業績は取引所ルールの「四半期決算短信」として引き続き開示されています。廃止されたのは金融商品取引法上の「四半期報告書」(EDINET提出・監査人レビュー付きの法定書類)です。
Q. 半期報告書と従来の第2四半期報告書は何が違いますか?
A. 中間期(期首から6ヶ月)を対象とする点は同じですが、半期報告書は旧・半期報告書制度に近い位置づけの法定書類で、監査人の期中レビューの対象です。記載内容は従来の第2四半期報告書とおおむね連続しており、データ上は中間期6ヶ月累計の財務諸表として扱えます。
Q. 過去の四半期データはもう手に入らないのですか?
A. 過去に提出された四半期報告書はEDINETで引き続き閲覧できます。金脈コードでも2021〜2024年度の四半期XBRL(各期2,500〜2,900社分)をデータベースに保持しており、企業ページの四半期業績セクションで確認できます。
Q. 半期の数値を前年の通期と比べてはいけないのはなぜ?
A. 対象期間が6ヶ月と12ヶ月で異なるためです。半期売上は通期のおよそ半分になるので、そのまま比べると「大幅減収」に見えてしまいます。比較する場合は前年の同じ中間期(半期)と並べる必要があります。金脈コードでは期間をXBRLコンテキストで判定し、通期と半期を別系列で表示しています。
本記事は金融商品取引法の改正内容と当サイトの取込データの集計に基づく情報提供であり、投資助言ではありません。 集計値は金脈コードのデータベース取込ベースであり、EDINET提出の全数と一致しない場合があります。 制度の詳細は金融庁・取引所の公表資料をご確認ください。